「江戸の繁盛しぐさ」 越川禮子 日経新聞社 | 一目均衡表日記

「江戸の繁盛しぐさ」 越川禮子 日経新聞社

 この本を読んだ頃は一目均衡表、相場に関する興味よりもむしろ一目山人の人生そのものに興味の傾いている時期でありました。

山人と同時代の財界人の回顧録や、山人の勤めていた都新聞の記事などを読んでいまして、色々と違和感がありまして、ただ書かれたものを字面通りに読むだけでは、本質がつかめないと痛感していた時期でもあります。


この本を読む直前に斎藤孝氏が教育テレビで「呼吸」の仕方が戦後継承されなかった事が現在の様々な問題につながっている、とおっしゃっているのを見て大いに感銘を受けました。

まだ「声に出して読みたい日本語」が話題になる以前だったと思います。

戦前の日本人は腹式呼吸で身体感覚として中心軸を自己の中に持っていた。だからさほど「論理」「情報」「教条主義」等などから悪影響を受ける事無く、自己判断が出来ていた。が呼吸法が親から子へ伝承されなくなってしまっている。というような話だったと思います。

教育現場で昔と一番変わった事の一つはは音読させるか否かでありまして、その「声に出して読みたい日本語」につながっていくのは自然でありますが、私としては「文章」としてだけでは決して伝承できないものがある、という事が非常に印象に残る番組でありました。


さて 「江戸の繁盛しぐさ」はこの事を確信させてくれただけでなく、一目山人が新聞記者であった頃の東京が尚江戸文化を残していたのだと判る、良書であります。続きは後日。