山田風太郎
山田風太郎に興味を持ったのはNHKの番組がきっかけで、一連の戦中派日記が始めでありました。
私はてっきり山田風太郎の忍法帖をエロ小説だとばかり思っておりまして、手にとるのが恥ずかしいと思い込んでいたのであります。
もう少し早く知っていたら、と思う作家のお一人でありまして、「驚嘆すべき目」の持ち主かと思います。
昔、何かの文芸評論雑誌で坂口安吾特集がありまして、「色川武大」名で「安吾は目のいい作家だ。」とありましたが、山田風太郎はそれ以上かも知れません。
安吾は求める理想と実質との開き、矛盾点が許せずに極端から極端へ周りを巻き込みながら揺れ動いたのに対し、山田風太郎は淡々と飄々と、その目のよさを生かしつつ作品を残しています。
ものを見る目は大事であります。
若い人には戦中派日記を是非読んで頂きたい、と思います。