「近代科学を超えて」村上陽一郎著 | 一目均衡表日記

「近代科学を超えて」村上陽一郎著

これは以前、トマスクーンをご紹介した時に触れたかと思いますが、改めてご紹介を。

大学時代には勉強もせずこのような本ばかり読んでいたものです。



 科学の発展の原動力は、未知のものへの好奇心であったり、実際的な要求であったり、名誉欲であったり、種々多様だろう。だが、その最終的な目標が、ちょうど医学のそれが「患者のため」にあるように、「人類のために」というところにないのなら、人類の知的営みとしては、自己破産せざるを得ない。そして、科学はまさにそこに総合化の視点をもっているはずなのである。


 具体的なプログラムとしては、「分析と総合」という「科学的」な思考法の前提を疑ってみる作業が必要であろう。それは「分析的である」ことを否定するのではなく、それ以外の自然現象への迫り方を「非科学的」として頭から峻拒してしまわない、という意味である。全体的な現象把握、現象を現象としてそのままとらえる、という方法を、どこかで探さなければならない。というよりその発想を、全ての「分析」の出発点にしなければならない。

「分析」は科学の一つの手段ではあっても目的ではないからである。(講談社学術文庫115ページ)


テクニカル分析が相場に対する科学的アプローチといえるかどうかは別として、アナリストを称するならばせめて上の認識は持つべきと考えます。

良くも悪くも「一目均衡表」はテクニカル分析の一手法ということにされておりますが、アナリスト諸氏で上の認識を探りながら相場に対処している人がどれほどおられるでしょうか。


優れた業績は伝播するのが自然であるのに、均衡表が伝わっていないのは何故か、というご質問を頂きました。

それに対する答えとしてお読みいただきたいと思います。


質問がだいぶたまっていますので、今週のメールマガジンでいくつかお答えしたいと思います。

為替は書けそうにありません。

気力がなえているときにはどうも結論のみ放言してしまう傾向が強いのでありまして、なるべく段階を説明しつつ書きたいのであります。