一目均衡表日記 -128ページ目

相場評論 その1

 一目山人は自分自身を株式評論家と称していました。評論家という言葉は、現代では批判的に使われる事が多いのでありますが、山人はパイオニアとしての自負が強かったのでのでしょう。山人と同時代の株式評論家としては高橋亀吉氏がいます。もっとも高橋氏は経済学者として著名でありまして、戦前からの相場評論の系統とは本質的に異なるタイプと言えるでしょう。

 戦前の新聞の市況欄を御覧になればわかりますが、紙面で必ず目につくのは相場関係者の個人的な相場観であります。読者が他人の相場観で実際に売買するなどとはこの時代考えられない事ですが、それでも相場観が紙面の中心になりえたのは、それが必要とされていたからです。
押し、戻り、を使って方向を判断する以上は、どこからどこまでを上げ、または下げとして先ず捉えなければなりません、また押し、戻りの限界をどの値段とすべきなのかも問題となりますが、これらの事は判断を下す段階においては常に仮説に過ぎないものなのです。だから人の相場観を聞く事によって、相場観には必ず思考の道筋がありますから、自分の相場観を整理し直すという意味があったのであります

平均株価のこと

 
 今日は対等数値の見方としてこのような測り方もあるという例を、平均株価でするつもりでありました。先ずこの点からコメントします。3月17日の為替のコメントと同じように、高値を中心点(為替の場合は安値を中心としました)としてモミアイの離れを探るというものですが、平均株価の場合も3月7日高値を中心として測るのであります。3月7日は1月11日高値11580円、1月24日安値11222円で出したV計算値11938円を初めて付けた日であり、これ以後じりじりと下げてきていますので、この11580円を一種の相場水準と見なして、離れをチェックするものです。
 
 そうしますと、1月11日から3月7日までの日数39日間を最大として、1月24日から3月7日まで30日間、2月14日(1月11日以後改めてこの高値を超えた日)から3月7日まで16日間といった対等数値が得られまして、3月7日から16日目、30日目、39日目において、11580円に近い水準の場合は特に注意してみねばなりません。今日は7日から16日目となりまして後場で11580円を割り込む安値となっています。ここから反発したとしても為替と同じように上昇を期待する事は私には難しいです。3月7日からの下げ方が問題であるし、位置もそれほど良いともいえないからです。
 上げ相場には上げ相場なりの、下げ相場には下げ相場なりの理由があるのでありまして、転換サインにたよらずに、理解していただくようお願いしたいのです。

訂正とおわび


 3月25日のコメントで「後4日間3月7日高値を更新できなければ基準線自体も上に向かってくるわけですから、値動きに乗るにせよはっきり判るところで判断すればよいと思います。」と述べましたがこれは間違いです。徐々に転換線が下げってきて、上値を圧迫してくる、という事を述べたかったのでした。

またこのブログの文字の大きさですが、なるべく早く見やすい大きさにしたいと思います。やり方が判りませんのでどなたか教えて下さい。
午後に久しぶりに平均株価についてコメントします。

為替のこと


 ドル円相場はようやく2月10日高値106、87を超えました。今現在わずかに超えたに過ぎませんが、今後の方向性を判断する為には非常に意味が大きいと言えます。3月9日安値から14日高値までを第一波動、16日までを第二波動とするならば、変化日は21日、23日となり、計算値はN計算値、105、45、E計算値106、78、V計算値106、53となりますが、これらの日にち、値段、ともに変化らしい変化が無いということが重要なのです。もしも深く押してくるようであれば最大で3月14日高値を相場水準としたモミアイ相場の範疇にあることを示唆しますので、場合によっては先行スパンを割り込むような下げも想定せねばならなかったということです。

 E計算値を超えたということで、押しさえ良ければもう一段高値を狙える状態となったという認識は持って頂いても良いと思います。ただし3月16日安値から今日は9日目でありますし、値段も週足の基準線、月足の転換線と触れる位置にもありますので、今日から一旦調整を入れるのではと考えます。このまま上昇するにせよ、調整をいれるにせよ、3月9日安値から19日目は変化日として重要だと言えるでしょう。

転換サイン その2

 罫線の転換サインについて、私自身はモミアイ離れを示唆するサイン、という捉え方をしています。天井、底、押し、戻りも一種のモミアイと考えるならば、納得がいくのではないかと思いますが、一目均衡表の転換サインははたしてどうでしょうか。

 基準線と転換線の交差、遅行スパンと相場実線の交差、等いろいろとありますが、結論から言えば、これらも結局はモミアイの離れを見るものと言えるでしょう。この事を理解するにはやはりモミアイ相場に対する理解が必要ですが、難しく考えずに、ある価格を相場水準として、その相場水準からの値幅が同程度で高値、安値を形成している変動と考えればよいでしょう。そうしますと、均衡表の基準線、転換線、先行スパン(52日間の半値を26日先行)の3本はその線自体が相場水準として働いている可能性があると理解できるでしょう。このことはグラフを書いている人ならば直ぐに実感できる事なので多くは述べません。

転換サイン


 私はテクニカル分析がどういうものであるかは良く知りませんが、罫線の転換サインを、単純に売買決定サインであるかのようにコメントする人は多いようであります。このような人たちは、転換サイン>上げ相場>転換サイン>下げ相場>転換サイン、というように転換サインさえ把握出来れば相場の方向を確信できるとイメージしがちであります。実際にその通りにならなければ「罫線の騙し」の一言でかたずけるようでは罫線はいつまでたっても相場の道具にはなりえないと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。

 一般的に転換サインは、相場の転換時に必ず出現するものであります。しかし出現自体が転換を確約するものではありません。転換サインが出現しても、相場の転換とならない場合、その時点で相場がもみあっていることを意味します。これはごく当たり前の事でありますが、転換サインで売買をする場合、成功するのは、転換サイン出現後、相場がその方向へ大きく離れるときであり、失敗するのは、転換サインの出現前後の変動がモミアイであるにもかかわらず、その間の変動を離れと見誤って乗ってしまったときでありましょう。だからこそ、昔の相場師は相場の方向性を大事にし、本当にわかる瞬間を大事にしたのでありますが、わかる瞬間には転換サインは売買決定サインそのものとなる事を皆さんにも理解して頂きたいのです。

方向性が大事 その3


 方向性とは非常に曖昧な言葉であります。相場の方向と言えば、上げか下げしかないのでありまして、一目均衡表であえて方向性と言うのには2つの理由があります。一つは非常に複雑な問題なので何れ述べる事としまして、今日は一点のみコメントします。

 一目均衡表という図表の優れた点は、一旦上げ相場、下げ相場となった時に、それぞれの線が押し、戻りのポイントとして機能する事でありますが、この様な変動は波動論的に言えば三波動Nの連続する変動であると言えます。少なくとも上げ相場における押しを下げ相場と判断しない事、下げ相場の戻りを上げ相場と判断しない事が、相場で大きな失敗をしない唯一の方法でありますが、その為には第一波動、第二波動を見て、第三波動を相場の方向として判断する、という配慮が必要なのです。意識の上では、単なる値動きで儲けるつもりなのか、それとも明らかにNを形成しつつあるもので儲けたいのかはしっかりと分けるべきでしょう。

 今日、何かのコメントで、平均株価は基準線で止まっているので来週から大きく上げる、というものを見ましたが、私自身は3月7日までの上げ方を見て、またここまでの下げ方をみて、これから上げるとは論理的には判断できません。後4日間3月7日高値を更新できなければ基準線自体も上に向かってくるわけですから、値動きに乗るにせよはっきり判るところで判断すればよいと思います。

為替の事


3月22日に変化日の事、と題して述べましたが、為替や、平均株価についてのコメントを読む方に誤解されてはいけないとの考えから載せました。例えば3月17日はドル円相場の変化日として重要である事を述べておりますが、この後、結果的に上げているからといって、無条件で買いと判断できているわけではない事を理解していただきたいのです。

 例えば3月19日高値105、51は3月9日から4日上げ、3日押し、4日上げという三波動の完成地点にあたりますが、同時に計算値N105、45と非常に近接しておりまして、この高値から直ちに均衡表を割り込んでくるようならば、やはりモミアイ離れとはいえない訳です。
この様な事は一例でありまして、3月17日以降あげると判断したならば当然、3月9日から最低19日間は上げると、想定出来るわけですが、決して無条件ではない事を理解ください。週足、月足の均衡表では基準線、転換線が上値を阻んでおりますが、このポイントを簡単に上抜けないようならば、また相場変動について想定し直す事となります。

勉強会のお知らせ


 平均株価勉強会の日程が決まりました。
1、4月15日(金)19時~21時
2、5月13日(金)19時~21時
3、7月15日(金)19時~21時
会場は水道橋駅側、会議室内海
講師は細田哲生
会費は一回5000円となります。大体一時間くらいは平均株価の話、残りの時間で一目均衡表の考え方について解説しています。後日ホームページ上でも告知しますので、宜しくお願いします。

 風邪が悪化して頭が痛く、花粉症も併せて、ものを考えるどころではありません。明日、為替の事を書きます。

変化日の事

 変化日を固定的なものとして考える方は多いのでありますが、一目均衡表での変化日をそのように捉えてもらっては困ります。変化日カレンダーと称して一目均衡表の基本数値、対等数値、あるいは先行スパンの交差などを使って提供するものもいるようですが、実際にその日に相場の方向が確定出来るかどうかが問題なのであって、相場の変動の仕方によって変化日は変わったり、消えたりするものです。

 一目山人のユニークさは相場変動をスパンとして捉えたことでありますが、ここでのスパンは私達が一般的に使うタイムスパンという概念に近いものといえるでしょう。例えば私が本を自分で書き出版する事を今月決めたとします。一般的に仕事を進めるときには大体の予定を立て、タイムスケジュールを組み立てる事になります。資料整理に一月、原稿執筆に三ヶ月、校正作業に一月、印刷、製本に二ヵ月で計七ヶ月は絶対にかかるとするならば、出版予定は10月以降となりますが、この場合の10月が変化日、それぞれの作業にかかる時間がスパンであるといえるでしょう。それぞれにかかる時間はあくまで予定でありまして、予定以上に時間がかかれば当然、後の作業に影響しますし、場合によっては延期、あるいは中止という決断をせねばなりません。

 相場変動で変化日を想定しておく意味もこれと全く同様であります。買った以上はいつ、いくらで売るかは当然問題となりますが、変化日までは上げると想定したとしても、その途中の変動によっては判断を変えねばならないはずであります。だからこそ相場変動そのものに対する理解が必要なのでありまして、理解がなければ、皆さん自身の目的も明確にはならないと思います。