一目均衡表日記 -130ページ目
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方向性が大事 その1


 一目均衡表は相場の方向性を判断する為の道具であります。上げか、下げかがその時点で常に正しく判断できるものならば、方向性という言葉を使う必要はありませんし、相場で儲ける事も簡単であると言えるでしょう。
 一目山人と同時代の相場関係者は、相場の方向が常に判断出来るなどとは思っていませんでした。押し、戻り、という言葉はこの事を象徴しておりまして、上げを、上げと戻り、下げを下げと押しに分けて考えると言う事は、判断出来る場所と、判断保留の場所を分けて考えている事になるでしょう。株式用語辞典等には、押し、戻りはその時点では客観的に判断出来ないため現在ではただ単に下げを押し、上げを戻りと、慣習として使う、と説明されています。押しと、戻りに特別な意味を持たせないのならばこの言葉は使うべきではありません。なぜなら押し、戻りという言葉は、私達が相場の値動きを方向として認識せざるを得ないという現実を、何とか処理する為の一種の発明であるからです。鍵足、新値足等の罫線はこの考え方が典型的に現れていまして、記入する事自体が上げか下げかを明確にするものとなっています。
 少なくとも昔の人は押し、戻りの判断が直感的なものに過ぎない事は知っていました。その上で、実際の変動と照らし合わせて、ある瞬間に賭けたのであります。当たり前すぎる事を書いていますが、この様な認識無しに均衡表を理解する事は不可能ですし、いくら知識を増やしても無駄であります。これから機会を設けて続きをコメントしていきます。

自分で考える事が大事


 晩年の一目山人が特にかわいがっていたH氏は今でも年に何回かの墓参りを欠かしません。この方は元証券会社の外務員で今でも相場が好きでたまらないという人ですが、時々、山人とどのような会話をしてきたか教えてくれます。 その中でも印象に残っているのは「I君は優秀だけど自分で考えないからいつまでたってもだめだ」という言葉です。I君とは当時有名だった株式評論家ですが、この人に限らず多くの人が山人の相場観を聞きに訪れ、それを自分の相場観のようにラジオや雑誌でコメントしていたようです。山人は、この人が罫線に対する多くの知識を持ちながら常に自分の相場観を立てないままで山人の意見を鵜呑みにする事を問題視していたわけですが、実際に10年以上山人の側にいながら均衡表の本質的な理解が出来ずに終わりました。それは当然の事でありまして均衡表を使って相場観を立て、本当に確信できるポイントを探すというトレーニングをしてこなかったからです。
初心者の相場観が幼稚であるのは当然の事ですが、それでも先ず自分で論理を組み立てる事が重要です。罫線は必ず結果を明らかにしますので、はじめに立てた相場観の問題点を明確にしてくれるものなのです。問題点を明確にした人でなければ何のために図表使うのか、何のために時間関係を追いかけるのか、という本質的な理解の仕方は出来ないでしょう。
 一目均衡表をものにしたければ自分で考えることであります。他の誰も均衡表を身につけさせてくれる人はいないのでありまして、私のコメントは勿論の事、時には一目山人の言葉さえも皆さんが本当に納得するまで受け入れるべきではないと思います。
平均株価は今日はコメントすべき事はないと考えますので変動次第で後日述べます。今度変化週として重要なのは42週目の次は45週目となります。グラフを数えればわかることですので、これも後日述べます。

初級者講座

 土曜日に初級者講座を久しぶりに開催しました。人数は少ないものの、愛知県、静岡県からわざわざ出席の方もおり、遠くから参加されるだけに事前の勉強も充分で、結局初心者には難しい講義になってしまったかもしれません。4時間の長い講義でしたが、皆さんお疲れ様でした。  
 平均株価については明日、コメントする事としまして、今日は変化日について少し述べます。変化日の意味を「相場の変化が起こりやすい日」として捉えている方が多いと思いますが、一目均衡表で言う変化日は厳密にはそのような意味ではありません。ある日を相場の起点として上げか下げかの方向を形成する場合には、相場は必ず三波動Nを形成します。つまり、ある値段、ある日にちまでは(三波動Nの完成する場所までは)上げ、または下げるはずである。として変化日を定めるのであります。 
ですから変化日で変化しないと言う事は、自分で仮説として立てた相場の起点、中心点が誤っている事を意味します。先週のべた42週目の意味、3月2日の意味は戻り相場として、あるいは上げ相場としての一種の限界のポイントとしての変化日でありますが、そこで変化せずに方向性を持続させるとすれば当然相場の起点を考え直す必要があるわけです。

平均株価のこと

 3月2日が過去からどのような位置にあるかを前回述べましたが、結果的には昨日、今日と高値を更新し昨年5月安値からの42週目を終えました。あらかじめ見当をつけておいた変化日での現れ方、変化日以後の現れ方が、極めて重要なのでありますが、いまのところどちらとも判断つかずと言うのが正直なところです。  
 よって来週の変動がやはり重要になってきますが、ポイントは3月2日の値段と比較して、上に放れるのか、それとももたつくのかでありましょう。上げ相場であるならば、当然2月21日から23日までの下げを第二波動とした上昇で無ければなりません。ですから来週いっぱい上げていくならば1月24日からの変動がそれまでのモミアイ相場の影響を離れて、独立した動きになっていく可能性を持ってきます。勿論いくらの値段をつけるかにもよりますが、これは計算値を全て出してみてチェックして下さい。 
 一方もたつくようであれば、やはり相場から距離を置く準備が必要であります。押しの限界は転換線までで基準線までの押しは単なる押しではないと考えます。

一目山人

 久しぶりに部屋を整理していたら、祖父の写真が何枚か出てきました。一緒に写っている父の姿が小学生くらいなので、多分50代後半の写真だと思います。晩年の山人の写真は勉強会に出席した方々にお見せした事がありますが、その写真と違って若いときの一目山人は近寄りがたい雰囲気です。

 そのうちの一枚は玄関先で撮ったものですが、表札に「山瀬正則」と書かれていて、山瀬氏の自宅に招かれたときの写真である事がわかります。昭和30年代から株をやっている方はご存知でしょうが、山瀬氏は今は無き山一證券の株式部長として一世を風靡した人物です。一目山人が山瀬氏だけでなく、副社長(実質は社長)大神一氏らと親交厚く、また大きな影響力を持っていた事を知る人は今ではほとんどいませんが、それは山一が破綻した事と無縁ではありません。当時の山一の経営者は破綻に際し、私財をさしだして、経営が持ち直した後は何も語らず、兜町を去っていきました。山人よりも皆早く亡くなったので、最も脂の乗っていたころの山人を知る人は誰もいない、という事です。 しかし一目均衡表の原著読者だけは、山人の思考法、現実処理方法をほんとうの意味で理解する可能性を持っているのでありまして改めて原著と読者の関係のすばらしさを感じます。機会があったら写真も公表します。

平均株価のこと


 注目している値段11850円に近い高値11830円を今日つけたのでありますが、3月2日がどのような位置にあるのかを確認しておきましょう。 ①12月10日を起点とした場合の時間関係では、12月10日から1月24日安値まで28日、1月24日から3月2日まで27日で三波動を形成していると言える。 ②昨年10月7日高値から基本数値97日目 ③昨年8月16日安値から基本数値133日目 ④8月16日は昨年4月26日高値から基本数値76日目、5月17日安値から基本数値65日目であるから、3月2日は4月26日からも、5月17日からも基本数値となっている。 ⑤10月7日は昨年3月2日から基本数値151日目であるから、やはり3月2日からの基本数値である。高値、安値からの基本数値に注意するのは当然の事ですが、昨年3月2日を起点とするのには理由があります。この日につけた11340円から11350円を一種の相場水準とすれば、これまでの変動はモミアイであるといえまして、そこからの基本数値で高値、安値、あるいは同水準になり易いという傾向を利用してみるのです。以上の結果から今日は高値として、決して矛盾の無い位置にあることだけは、理解できるでしょう。この位置から悪化するようであれば、これほどまでの基本数値の一致はめったにはありませんので、下げは急となると考えます。また上げていくとすれば12月1日起点1月14日を中心とした対等数の時間、1月24日を起点とした時間が当面考えられますが、この場合はやはり値段が問題となりまして、昨年7月高値を抜けなければ話にならないと考えます。

原稿


本当なら既に出版していなければならない本の原稿がまだ書きあがりません。3月5日に久しぶりに初級者向けの講義をするのでその準備に終われています。今書いている本は「一目均衡表講座」というタイトルになりそうなので、今まで書き溜めた事を講義でも使おうと思っていますが、参加者にどれだけ理解してもらえるか、組み立てては崩し、と言う作業を繰り返しています。
私の講義は常に波動論が中心となりますが、波動論を理解しなければ、時間関係、値幅、均衡表図表について丁寧に分析したところで何の役にも立たない、と考えるからです。波動論は今現在上げ相場なのか、下げ相場なのか、今後上げるのか下げるのかを、明確にするための論理ですが、その基礎は「押しだから上げる」「戻りだから下げる」という判断方法にあります。このような判断方法は昔の相場関係者であれば当たり前に理解しており、その問題点もわかっていたはずなので、原著でもごく簡単に触れられる程度です。だから「時間が一番大事」という原著のコメントは波動論を前提に受け取るべきですが、多くの相場関係者はこの言葉を誤解したままに均衡表を活用しています。
このような誤解を解くための本でありますが、波動論は説明するのが非常に難しく筆も進まない状況になっているのです。しばらくは休日無しでがんばります。
3月1日記

平均株価のこと

今週は2004年5月安値から42週目になります。42は基本数値として極めて重要な数字ですが、2003年8月安値から2004年4月高値までの上げ42週に対する対等数でもあります。この場合の対等数値は、「42週上げた相場以後の中間波動の終了」という意味合いがありまして、高値で決まれば下げ方向を、安値で決まれば上げ方向を示唆する事となります。また今週は昨年10月安値から19週目となり、昨年7月高値から10月安値までの19週に対する対等関係である事、昨年12月10日の安値を起点とした場合の三波動Nの完成地点でもありますので、やはり今週の変動は重要であります。

さて前回のコラムでは「本格的上げ相場を想定するのは7月高値を上抜いてから」と述べました。私自身は現時点で11988円を超える事は難しいと考えておりますが、簡単にこれまでの経緯をコメントしておきます。今回の上げ相場の出発点とすべき安値は、10月25日、12月1日、12月10日、12月16日の4つが考えられます。10月25日を起点とした場合は、26日目が12月1日安値、33日目が12月10日安値で一種の準備構成となり、1月11日高値が51日目、2月16日が76日目と基本数値で三波動Nを形成しています。また79日目が2月21日高値となっておりまして、10月25日が終値では8月安値を下回っている事を考えれば、10月25日の79日前は7月1日高値ですので、ちょうど上げ時間いっぱいを経過している事が判ります。ここで1月11日の値段、2月16日、21日の値段はそれぞれ重要でありまして、1月11日の11580円は、10月7日高値11410円に、9月28日安値と10月25日安値の値幅を足した、Y計算値11572円に見合うものであり、2月16日高値、21日高値は、1月24日でのNT計算値11694円(12月10日起点)すら届いておりません。これはいまだに去年後半のモミアイ相場の影響下にあることを示唆しています。
12月1日、12月10日を起点とした場合では時間が残されていますが、12月10日からの上げ19日に対して、1月24日から上げ20日はもたつきすぎでありまして、ここから上げるとしても11850円付近では充分な注意が必要だと考えます。
いずれにせよ下げ方に警戒すべき点は、去年から全く変わっておりません。

勉強会では何度も竹内先生からお話がありましたが、今年四月に向けてだんだんと形を整えつつありますので、皆さんご自身で良く研究ください。

2月27日記す。


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